仲が悪いコンビ芸人が減少している・・・その要因と仲の良さがもたらした変化とは如何に?




お笑いコンビといえば、一昔前までプライベートは“仲が悪い”というイメージが普通で、ダウンタウンやとんねるずなど、黄金期の世代には常に不仲説がつきまとっていた。

しかし近年ではバナナマンやおぎやはぎなど、仲の良さをアピールする芸人も多く、トークバラエティ『アメトーーク!』(テレビ朝日系)では、「相(愛)方大好き芸人」の企画もヒット。

“仕事上のパートナー”という割り切った関係性が主流だったお笑いシーンで、なぜこのような変化が生まれたのだろうか?


◆さまぁ~ずら“東京芸人”の躍進でお笑い界の環境に変化

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「仕事の現場以外で会う必要はない」、「お互いが何をしているか知らない方がトークが盛り上がる」などの考えのもと、相方とはあくまで“仕事上のパートナー”という割り切った関係性を築いてきたのは大阪のお笑い芸人たちだ。

厳しい師弟関係をはじめ、吉本興業であればNSCなどの上下関係の中で芸を磨き、彼らの誰もがいつか努力が実を結ぶ日が来ることを夢見て精進を続けてきた。これらの風潮は先輩から後輩へと引き継がれていたと思われる。

とんねるずやウッチャンナンチャンなどの例外はあるが、コンビ芸人は仲が悪いというイメージが根付いていた頃は、関西発の芸人がテレビなどで活躍することが多かった。

一方で、いわゆる東京芸人には、さまぁ~ず、バナナマン、キャイ~ン、おぎやはぎなど仲の良いコンビが目立つ。大阪芸人とは成長する環境が異なる東京芸人は、プライベートでもよく話す仲の良いコンビが多くなったのかもしれない。


◆“仲の良さ”がコンビとしての魅力に お笑いだけでなく芸能界全体にも派生

コンビ仲が良い芸人に東京芸人が多いのは、関西のお笑いとの差別化を図った一面もありますが、“お笑いコンビは仲が悪い”といったイメージがスキャンダルを超えて一般化されてきたところで、その反動として“仲の良さ”、“ほっこり”が注目されるようになったことも大きいのでは」と話すのは、メディア研究家で多くのエンタメ記事を手掛ける衣輪晋一氏。

流れのきっかけとしては、さまぁ~ずさんの躍進ではないでしょうか。『さまぁ~ず×さまぁ~ず』(2007年~テレビ朝日系)に見る様な、仲睦まじいコンビ仲のトークは当時とても新鮮で、関西のお笑いにはないほっこりした気分を提供してくれました。

最近では、チュートリアルの福田充徳さんのプロポーズに相方・徳井義実さんが立ち会ったことが話題になるなど大阪芸人にまで波及するに到り、“コンビ仲の良さ”はいまやお笑い界の〈推し〉のひとつとして定着したと言えます(衣輪氏)

コンビ仲の良い芸人たちは自身のテレビやラジオの冠番組などで相方愛を語るほか、知られざる相方の姿に言及したり、面白エピソードを話すことが頻繁にあり、これもファンには好評だ。

衣輪氏は「こうした流れは、メンバー仲が良いことで業界内でも好評だったアイドルグループの嵐がブレイクし始めた2006年頃からの動きとも重なるように感じられます。お笑いだけではなく、芸能界全体の流れなのかもしれません」とも分析する。


◆お笑い界に流れる雰囲気にも変化 反面、仲の良さに苦言も

仲の良さから面白さを見出す一方で、大阪芸人の中川家は芸人間全体に流れる仲の良さ、雰囲気に苦言を呈している。

2016年にORICON STYLEが行ったインタビューで、剛は「ちょっと仲良すぎかなと思うことはありますね」と言及。「僕個人としてはですが、ああいう感じはあまり見せない方がいいと思うんですよ。昔はもっとギスギスしていたというか、ピリピリした緊張感がすごくあって競い合っていました」と続けた。

コント番組が乱発したお笑いブームが過ぎ去り、今はひな壇を使ったバラエティ番組が主流となっている。そんな流れも相まって、芸人間のライバル意識が薄くなっていることも考えられそうだ。

これに礼二は「その空気感(ピリピリした緊張感)がステージでのいいものにつながっていた感じはありますね。

バラエティのひな壇でもわちゃわちゃトークで盛り上がるだけではなくて、誰かに何かを言うときはちゃんとオチをつけたり、しっかり振り方を考えてから前に出ないとっていうのはありますね」と振り返り、「生活もかかっていましたから、それだけ笑いに真剣だったんです」とまとめている。

先月放送された『一周回って知らない話』(日本テレビ系)で、アンジャッシュが不仲説を認め、ネットでも話題となった。

渡部建は「仲良くある必要もないと思ってる」、「仲悪いことが良く働くことの方が多い」と解説し、お互いを何も知らないことでトークが弾むことや、ガチのケンカ芸に見えることのほか、お互い譲らない関係だからこそ、話し合いを重ねて良いコントネタが出来たと振り返っている。

仲が悪いことを武器にアピールしていく姿勢は、今の“コンビ仲の良い芸人”のアンチテーゼとして新鮮です。

さまぁ~ずの躍進や、同時多発的に起きた嵐のブレイク頃が“仲の良さ”ブームの始まりだとすれば、すでに約10年が経過

『ひな壇芸人による視聴者置いてけぼりの内輪ノリに飽きた』との視聴者の声も聞かれますから、再び潮目が変わる時期に入ったのかもしれません」(同氏)

かつて日本を代表する文学者であり画家の武者小路実篤は「仲良きことは美しき哉」と自らの絵に添えた。

「人と人が仲睦まじく過ごしている姿は美しいものである」の意だが、美しさを磨けば面白さも磨かれるというわけではない。

競争力のない場所に発展は望みづらいのだ。仲の良い芸人が当たり前となった今だからこそ、相方というビジネス上の信頼関係を築いた“仲悪い芸人”が、ライバル関係の薄れた現在のお笑い界に一石投じ、新たな時代を創るきっかけとなるかもしれない。



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