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不正を正す風土は経営トップが作るもの




 東芝、三菱自動車と会社の存亡にかかわるような不正が続いている。

 不正が起こる会社に共通しているのは重大な問題があってもそれに蓋をして外に出ないように隠してしまう点だ。

 例えば、人事に関する仕事をしていると「常習的にパワハラを繰り返している社員がいるが、成績が良く外したくない。どうしたらいいか」という相談を受けることがある。これこそ不正を起こす会社の体質を典型的に表している。

 会社の存続を考えるなら、何度も注意・指導をしても変わらない人物に業務を託していること自体、自殺行為に近く、あり得ない。根本的にはこれに経営トップが気づかない、気づいても見て見ぬ振りをすることに問題がある。

 こういった会社では、おそらく会議を開く時、異議があっても常に「全員賛成」でお開きになることが多いだろう。ビジネスの基本は他者との「違い」や「差異」を創出することだが、社内の会議でさえ問題提起が起きず、建設的な議論もできていないようでは、その会社の将来は危うい。

 不正が起こると出るのが「内部通報制度が機能しなかった」という意見だ。私は変えるべきは「制度」でなく「風土」で、その一歩目を踏み出せるのは経営トップだけだと思っている。

 それを私に身をもって示してくれたのが、ソニーを創業した井深大さんと盛田昭夫さんだった。現場を大事にし、見に行き、わからないことがあれば実際に赴き、誰がやっているのかを確認して、上司ではなく、担当者に直接尋ねるようにしていた。

 一担当者に対しても尊大にならず、謙虚に、ただただ事実の報告を求める。ミスや他社に劣っている部分があっても冷静に話を聞いていた。それが彼ら経営トップ自身の課題だと認識していたからだ。その態度に接して、若手は自分の仕事に誇りを持つことができた。かくいう私もその1人だった。

 こういった経営トップがいると、徐々に社員自らが会社にとって必要なことを進んで言う風土が醸成されてくる。内部通報制度が活きるにはここが重要で、「通報者の秘密が守られるから」機能するのではない。

 人事は、経営トップと一緒に会社風土を健全にしなければならない。そのためにリスクを背負って挑戦している人材や勇気を持って異論を言う人材を大切にすることを各マネージャーに理解してもらう必要がある。

 また、トップが精魂込めて作った風通しの良い風土をしっかりと守り育てることも仕事になる。社員から相談や情報が上がってきたら、社内政治力学も考えながら、丁寧に解決の糸口を見つける努力をしてほしい。

 最悪、自らの立場が危なくなるのがわかっていても、情報を上げるメンバーこそ評価する人事でなければならない。そういう人ほど、会社になくてはならない人材である。

 問題を先延ばしにし、次の時代の経営にしわ寄せをすることほど、会社の健全性や成長性を奪うものはない。開かれた人事、信頼の置ける人事になる努力をし続けて欲しい。





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